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だが、悲嘆してばかりはおれない。
逆に「トリプルA」奪回の目標が出来たというくらいの気概で、日本再生のために、それぞれの持ち場で力を尽くしたいものである。
欧米では、家族や恋人の写真を会社の机に飾っている人が少なくない。
タクシーの運転手なら、運転席に家族の小さな写真を置いている。
銀行の窓口係がカウンターに自分の子供の写真を置いているのを見たことがある。
しかも、自分の家族の写真を客に見てほしいとでもいうように、客の方に向けて置いているので、なんとも妙な感じだった。
最近では、会社で使う個人用のコンピューターのいわゆる壁紙に、家族の写真を使う社員もいる。
また、よく見ていると、若い社員は結婚式の記念写真を置いている場合が圧倒的に多い。
こうしたことは習慣になっていて、誰も気にしないし、冷やかしたりもしない。
お互いに照れることもなく、ごく自然に行なっている。
アメリカ人やイギリス人にとって、人生において、仕事と同じくらい(あるいはそれ以上)の比重で家庭が大事であり、時には仕事を中断してでも家族と電話で雑談する。
彼らはそれを、当然のことと思っているらしいひとりひとりの個人意識が徹底しているこの国では、夫婦といえども、独立した他人同士である。
愛情の表現を日常的に行なうことは、家族の間のある種の義務でもあるようだ。
また、欧米には日本式の「以心伝心」といった「暗黙のコミュニケーション」というものはない。
「夫婦だから、そんなこと言わなくても分かっているだろう」という考えは通用しない。
「言葉と行動による表現」が何よりも求められるのだ。
だから、家族からの電話も多くなる。
しかし、日本人の感覚からいえば、それは明らかに私用電話であり、「怠けていないで、仕事をしろ」と怒鳴りたくもなる。
このあたりが文化の違いである。
実際、現地の日系企業でイギリス人と働いていて、難しいのはこうした点である。
ある日本の銀行の現地法人では、社員の私用電話があまり多いので、通話の記録を調べた上で、目に余る社員には注意した。
しかし、中には、猛然と反発するイギリス人もいた。
家族からの私用電話もよくかかってくる。
中には、一日数回、奥さんから電話がかかってくる男もいる。
奥さんだけでなく、子供からもかかってくる。
別にこれといった用事でもなざそうで、数分間、雑談をするだけだが、最後に「アイラブュー、マイスイートハート」とか何とか言って「健全な家庭の維持を邪魔する権利が会社にあるのか」と言うのだ。
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